キャンプには必ず持っていくお気に入りアイテムハリケーンランタン。
「デイツ78」がお気に入りです。
今回は、ハリケーンランタンによくある燃料漏れに関する「誤解」と「対策」について、くわしく解説していきます!
- ランタンを傾けて燃料が漏れるのは不良品じゃない!
- なぜ燃料は漏れるのか?
- ハリケーンランタンの基本構造を理解する
- 燃料が漏れる場面「ベスト3」
- 燃料が漏れてしまった場合の対処方法
- 燃料が漏れないための「3つの対策」
傾けて燃料が漏れるのは不良品では無い!
Amazonなどの商品レビューでよく見かけるのが(↓)
ランタンを傾けるだけで燃料が漏れちゃった。これって不良品ですよね!
という内容。
結論から言うと、これは不良品ではありません。
ハリケーンランタンの構造上、燃料を入れたままランタンを傾けると燃料は漏れてしまいます。
なぜ燃料は漏れるのか?
まずはハリケーンランタンの構造を理解する
19世紀半ばに発明されたハリケーンランタン。
その基本構造は今も変わっておらず、燃料を入れるタンクの内部構造は「2層(上層と下層)」に分かれています。(↓)。
この2層のうち、下層には「燃料が入る場所」、上層は「空気が循環する場所」になっています。(↓)
この2層構造の理由は、タンク上層に空気を循環させるスペースがあることで、灯りをともすバーナーに新鮮な空気を常に送り続けられる仕組みになっているからです。
バーナー部分で燃焼した空気は、ランタンの上部に移動して外に排出されます。そして、新鮮な空気が左右2つの支柱からタンク上層を通ってバーナーに届きます。
つまり、タンクの上層スペースは空気の通り道なんだね!
この構造により、常に空気がランタンの中を循環して まるで”台風の目”のようにぐるぐる回って炎が燃え続けるため「ハリケーンランタン」と言われています。(※諸説あります)
このような構造のため、ランタンを斜めにしてしまうと、下層タンクの燃料が、上層タンクに入ってしまいます。
(大事) タンクの上部は密閉構造ではない!
これはかなり大事なことですが、先ほど説明したタンク「上部」は、密閉構造になっていません。(燃料の入るタンク下部はしっかりとした密閉構造になっています)
タンク上部の以下の3つの場所に隙間が空いています。
- 給油口まわり
- ステー(支柱)の付け根
- バーナー装着穴の周囲
燃料が入ったままランタンを傾けてしまうと、この密閉構造になっていない隙間から燃料が漏れ出してしまうのです。
タンク上部が「密閉構造になっていない」のには理由があります。次項でくわしく解説していきます。
タンク上部が”密閉構造”になっていない理由
もし、タンク上部が隙間の無い密閉構造だったら、万が一タンク上部に燃料が入ってしまったら、ランタン全体の空気循環が滞ってしまいます。
わざと密封構造にしていない
だからタンク上部は、あえて密閉構造になっていません。
タンク上層に燃料が入ってしまった場合、その密閉構造になっていない隙間から余分な燃料を排出してくれます。
燃料が漏れた時の対処方法
燃料漏れを見つけたら、ランタンの使用を中止して燃料の浸み出しが止まるまでこまめに拭きます。
その後で、2〜3日くらい天日干ししておけば上部に入ってしまったオイルは自然に乾きます。(寒い季節だと1週間くらいかかる場合もあります)
燃料が漏れる場面「ベスト3」
燃料がランタンから漏れてしまう「よくあるシチュエーション」ベスト3は、以下の通りです。
- 燃料の入れすぎ(規定の容量以上に燃料を入れてしまう)。
- ランタンに燃料を入れたままの状態で、車に積んで移動してしまう。
- 燃料を入れたランタン本体を、傾けたり揺らしたりする。
燃料が漏れないための「3つの対策」
ハリケーンランタンの燃料漏れを防ぐためには、以下の3つの対策が効果的です。
(対策1)燃料を入れたまま持ち運ばない
先述したランタンの構造上、燃料をランタンに入れたままの状態で車で運ぶと必ず漏れます。
対策として、「燃料を入れたまま持ち運ばない」ことが基本的な対策となります。
燃料となる灯油やパラフィンオイルは、洗って乾燥させたペットボトルなどに、使う分だけを少量持っていきましょう。
目安は100mlで10時間
燃料の目安は「100mlの燃料で10時間点灯する」と覚えておきましょう。
例えば、デイツ78の場合、燃料の最大容量は200mlなので、一度満タンにすると20時間ほど持ちます。
ただ目分量でタンクに燃料を入れていくと、タンクの中は暗くて見づらいため、燃料がどのくらい入ったか目視で確認することはできません。
あらかじめ使い切る容量だけ(例:10時間使いたいから100mlなど)、タンクに入れるようにすると楽です。
少量の持ち運びに便利なおすすめ容器
僕は、キャンプなどにランタン用の燃料(灯油)を持っていく時、明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプの容器を活用しています。
R-1の容器は容量が110ml。計算すると11時間持つことになるので、一泊二日のキャンプなら夕方少し暗くなってくる17時くらいにつけ始めて、翌日の夜明け前くらいまで灯りが持ちます。
1泊のキャンプであれば、この容量で十分持ちます。
このくらいの小さな容器であれば、ランタンケースに一緒に入れて運ぶこともできます。
燃料を入れるときに便利な小さめのジョウゴも一緒にケースに入れておくと、道具の持ち忘れを防ぐことができます。
(対策2)燃料は現地で使い切る
ハリケーンランタンは、キャンプ場など現地に到着してから、タンクに給油して焚き切って(タンクを空にして)帰ってくるのがベストです。
使い残したタンク内の燃料を、別容器に移し替える作業は非常に面倒です。お勧めしません。
キャンプ最終日には、タンクを空にして、ランタンケースに入れて持ち帰りましょう。
ちなみにランタンケースはハリケーンランタンの持ち運びには必須です。種類もたくさんあるのでお気に入りを見つけましょう。
(対策3)タンクに入れる燃料は8分目
タンクに入れる燃料が多すぎると、タンク上部に燃料が溢れますし、少し傾けたり揺らしたりするだけで燃料が漏れやすくなってしまいます。
タンクに入れる燃料は、8分目くらいを目安としましょう。
燃料の容量はカタログ値を鵜呑みにしない
インターネットで販売されているハリケーンランタンのカタログ値を見ると、実際に入れることが可能な容量と異なって表記されていることがあります。
例えば、僕の使っているデイツ78は、販売サイトによっては「容量340cc」と記載がありますが、これを鵜呑みにしてそのまま340cc入れてしまうと確実に漏れ出してきます。(実際の許容量は200ml程度です)
新規購入を検討されてみえる方は、購入予定のランタンのタンク容量を購入前に確認すると良いでしょう。
まとめ
今回は、ハリケーンランタンの「なぜ燃料が漏れるのか?」「漏れるのは不良品なのか?」という素朴な疑問について、解説させていただきました。
ハリケーンランタンの「タンク内部の2層構造」と「密閉構造になっていない理由」を理解すると、「なぜ燃料が漏れるのか?」という疑問が解決できます。
ハリケーンランタンはキャンプを彩る素晴らしいアイテムです。
キャンプ道具の特性や構造をしっかり理解すると、より愛着が湧きますよね。